会社員をやっていると、どうしても「やりたくない業務」を指示されることがある。組織の一員である以上、苦手なことや興味の持てない業務を任されることはよくある話だ。
私も若いころは、どんな業務でも「勉強になる」と思って前向きに引き受けてきた。苦手でもがんばればできるようになるかもしれないと信じていたからである。
しかし、今の年齢になると嫌でも自分の特性が見えてくる。苦手なものはどう頑張っても苦手であり、やりがいを感じないものは、どれだけ「やりがいを見出そう」としても無理なものは無理である。
そこで今回は、私なりの「やりたくない業務への対処法」を紹介したい。同じような境遇の人には参考になるかもしれない。
ただし、若い人にはあまりおすすめしない。若いうちはまだ得手不得手がはっきりしていないため、いやだなぁ…と思っても、まずは一通りの業務を経験した方が良いかもしれない。
私の対処法
やりたくない業務を指示されたとき、私はまずできるだけ早く取り掛かることを意識している。
嫌な仕事ほど後回しにすると、どんどんやる気が削がれていく。「あの仕事まだやってないな」と思うだけで気分が沈むし、仕事のことが頭から離れなくなる。だから、精神的な負担を減らすためにも早めに着手するのである。
ただし、全力では取り組まない。
せいぜい6割程度の力で十分である。なぜなら、やりたくない仕事に全力を出すと精神的に疲弊し、その後の業務に支障をきたす恐れがあるからだ。例えば「集中力が切れてケアレスミスが増える」「次の仕事に集中できない」などが典型的である。
言い方は悪いが、やりたくない仕事はほどほどに手を抜くくらいでちょうどいい。
さらに、もう一つ理由がある。
やりたくない仕事を全力でこなしてしまうと、上司に「こいつはこの業務が得意なんだ」と誤解される可能性がある。結果として、次から次へと同じような仕事を任される羽目になる。むしろ「この人には適性がない」と思われる程度の結果で十分である。
少しぐらいのミスは、むしろ苦手であることのアピールの一環と割り切っている。
それでも何度も同じ業務を振られた場合、ミスやトラブルを繰り返していれば、やがて上司も「この人に任せるのは面倒だ」と思うようになる。そうなれば自然とその仕事から外れることが多い。
また、もしその業務にある程度の裁量があるなら、できるだけ「人に任せる」ことを意識する。
たとえば、面倒な大きな会議の準備を任されたとしよう。
その場合、自分がすべてを抱え込む必要はない。会議室の予約はAさん、資料印刷はBさん、備品の管理はCさんと別の人に頼む。自分自身は全体の進捗を確認し、上司に報告する役に回ればよい。
この方法は、やむをえず飲み会の幹事に指名されたときにも応用できる。司会進行、会計、予約、連絡などをそれぞれ得意そうな人に割り振り、自分は全体の調整役に徹する。自分が直接動かずに、全体をまとめる立場に回ることで負担を最小限にできる。場合によっては幹事でありながら飲み会に不参加ということも可能である。
やりたくない業務のためにプライベートを犠牲にしない
やりたくない業務のための残業や休日出勤は極力避けている。ましてやサービス残業など論外である。
理由は単純で、嫌なことに自分の時間と労力を差し出すのは非効率だからである。残業時間というのは、すでに一日の集中力が切れている状態である。そんな中で嫌な仕事をしても、良い成果など出せない。
さらに、やりたくない仕事のために自分の予定をキャンセルするのは精神的にも悪い。
例えば「せっかく友人との予定を入れていたのに、急な会議準備で残業」となれば、モチベーションは大きく下がりストレスにもなる。
言い換えれば、やりたいことを我慢して、やりたくないことを優先している状態である。
これを繰り返すと、心がすり減っていく。最終的には「何のために働いているのか分からない」という状態に陥りかねない。
まとめ
今回書いた内容は、あくまで私自身の現状をもとにした考え方である。
正直に言えば、私はもう出世を目指していないし、昇進や上司からの好評価も期待していない。会社は「生活費を得るための場所」と割り切っている。
もし「昇進したい」「上司に気に入られたい」と思う人には、今回の方法はおすすめできない。そういう人は、嫌な仕事でも全力でやった方がよいだろう。
しかし、私のような立場なら、やりたくない業務に時間と労力を費やすより、自分の得意分野や好きなことに力を注ぐ方が、はるかに健全である。
年齢を重ねると、無理に我慢しても続かない。
やりたくないことは、やっぱりやりたくないのだ。
だからこそ、無理せず、できる範囲で、心をすり減らさないように働くのが一番だと思う。
会社員生活を続けるうえで、手を抜くことは有効な対処法の一つだと思う。


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