バカを演じて自分を守る

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自己肯定とメンタルケア
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やりたくない業務を指示されたとき」でも記載したが、会社員を長くやっていると、どうしても「面倒な業務」や「誰もやりたがらない雑務」というものがある。
そして残念ながら、それらは大抵の場合、筆頭グループの下っ端に回ってくる。
まさに私がその立場である。

誰がやるのか曖昧な業務、手間だけがかかるような雑務。
そういった仕事を立て続けに受け続けていると、本来やるべき自分の仕事が進まず、精神的にもすり減っていく。

しかもこのような雑務はやっても報われず、感謝すらされない。それどころかミスをすれば叱責される。そんな業務ばかりやっていると自己肯定感が下がり、虚しさだけが残る。

このような状況の中で、私がたどりついた結論がある。
それは「バカを演じる」ということだ。


面倒な仕事を避けるには、あえてバカになる

もちろん、ここで言う「バカになる」というのは、実際に愚かになるという意味ではない。
「バカを演じる」ことである。

つまり、相手に「この人に頼んでも期待通りの成果にならない」と思わせるように立ち回るということだ。

たとえば、面倒そうな依頼や相談があったとき、あえて話を噛み合わせないようにする。
相手に「この人、説明してもなかなか理解しないな」と思わせることで、自然と期待値が下がる。
結果として、「この人に任せても上手くいかないだろう」と判断され、次から頼まれにくくなる。

また、忙しそうにテンパっている雰囲気を出すのも有効だ。
「今それどころじゃない」と思わせるように、相手の話が右から左に抜けているような空気を演出する。

右往左往し手が回らないふりをすれば、相手も「仕方ない」と納得してくれることが多い。

そして、万が一断りきれず引き受けてしまったとしても、全力でやる必要はない。
適度に手を抜いて、結果が多少的外れでも構わない。

その時点で相手の期待値はすでに下がっているのだから、「あぁ、この人にはちょっと難しかったんだな」と思わせればいい。

また、しばらく放置し、忘れたふりをする。そして催促されたら「すみません、うっかり忘れてました」と軽く受け流すのもありだ。

状況によってはバカさを強調するために、多少周囲に迷惑をかけたり、トラブルに発展してもいいと思う。ただでさえ面倒くさいことをバカに頼んだら、余計に面倒になったことを強調するのだ。

そして怒られたとしても、言い訳や反論はせず、素直に「すみません、自分の力不足でした」と謝る。もちろん迷惑をかけた相手にも申し訳なさそうに謝る。

そうすれば立て続けに面倒なことを頼まれることがなくなると思う。


バカを演じることに抵抗がある人へ

「バカを演じるなんて恥ずかしい」と思う人もいるかもしれない。
たしかに最初のうちは抵抗があると思う。真面目な人ほど、頼まれた仕事を断ることに罪悪感を覚えるものだ。

しかし、私のようにASDやADHDといった発達傾向を持つ人間は、周囲から見ればそもそもバカに見えるのかもしれない。

実際、私は前任の部署で「話が噛み合わない」「お前の発言は的外れ」と何度も言われた経験がある。
つまり、バカを演じなくても、もともとそう見られやすい特性を持っているわけだ。

むしろ、発達傾向があるからこそ、自分の特性を逆手に取って「敢えてバカを演じてうまく受け流す」方がストレスは少ない。

発達特性で疲れやすい人こそ、無理して完璧を目指すよりも「バカを演じる」くらいの余裕を持つ方が、ずっと楽に生きられるのではないかと思う。


バカを演じるのは立派な戦略

私は「バカを演じる」ことは、逃げではなく自分自身を守る一つの手段だと思っている。

職場では真面目に対応すればするほど、面倒な業務や理不尽な雑務を押し付けられがちである。
そんな環境ですべてを真面目に受け止めていたら、心が病んでしまう。

歴史上の偉人たちも同じような戦略をとっている。

たとえば、織田信長は若い頃「うつけ者」と呼ばれていたが、実際は計算高く、周囲の警戒を和らげるためにそう振る舞っていたと言われている。

徳川家康も一見穏やかで愚鈍に見せかけながら、実は冷静に情勢を見極めていた。

つまり「バカを演じる」という行為は、昔から存在する立派な生存戦略なのだ。

職場でも同じである。
面倒な業務や報われない雑務を押し付けられそうなときは、「私は適任ではない」ということを周囲に感じさせることが重要である。

バカを演じて自分のキャパを超えた仕事や苦手な依頼を避ける。
それは決して怠けではなく、自分自身を守るための知恵なのだ。

そして、特にASD、ADHDと言った発達傾向を持つ人間にとっては、「バカを演じる」ことは自分の個性を受け入れ、無理なく働くための手段でもある。

バカを演じることで「自分はこれくらいの人間でいい」と開き直り、心の安定を保つことができるのだ。


真面目な人ほど、雑務やどうでもいい仕事など何でも引き受けてしまいがちである。

しかし、それでは時間がいくらあっても足りないし、自分自身が疲弊してしまう。

会社という組織の中では、すべてを全力でこなすよりも、時には力を抜き、「バカを演じる」くらいの余裕が必要だと思う。

無理して頑張っても評価されない環境なら、あえてバカになろう。

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