窓際社員になるのも難しい

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職場での出来事・エピソード
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窓際社員のイメージ

多くの人は「窓際社員」という言葉には、あまり良いイメージが無いと思う。重要な仕事は任されず、いつ見ても暇そうで、定時になるとさっさと帰ってしまう。周囲からは「仕事をしない人」とか「仕事ができない人」という目で見られている。
また窓際社員になるのは簡単で「サボる」「失態を繰り返す」など、できない社員になれば良いと思われがちである。しかし、実際にはそんな単純な話ではないと私は考えている。

私の会社にも確かに典型的な窓際社員のような人がいる。しかし、その人がそこに至るまでには、それなりのいきさつがあったのだと思う。さらに窓際社員になるためには、「工夫」や「気持ちの持ち方」など、意外な能力が必要なのかもしれないと感じるようになった。

窓際社員になるための心構え

第一に必要なのは「プライドを捨てること」ではないかと思う。これは頭で理解していても実際には難しい。同期や後輩に昇進で抜かれていくのは、やはり屈辱を感じる。人は誰しも「認められたい」「役に立ちたい」という承認欲求を持っている。この気持ちを完全に手放し、完全に開き直るには、ある意味で悟りの境地に近いのかもしれない。

次に大切なのは「仕事を割り切る心構え」ではないかと思う。面白くなくても、やりたくなくても、それを「仕事だから」と完全に割り切れるかどうかである。少しでも「あの仕事をやってみたい」という気持ちがあると、どうしても割り切りきれず、窓際的な立場に徹するのは難しい。

また「難儀そうな仕事をうまく躱す能力」が重要であると思う。これは窓際社員を目指す上で最も大切なスキルかもしれない。大変そうな仕事が振られそうになった時、周囲からの不満を買わずにスルリと逃げる。その絶妙なバランス感覚こそが窓際の極意である。

さらに、暇な時間を上手にやり過ごす能力も必要である。実際、職場で「やることが無い」という状況は意外につらいと思う。だからこそ、忙しいフリをする演技力や、時間をつぶす工夫も求められる。

誰も最初から窓際になりたいわけではない

こうして「窓際社員になる心構え」を列挙してみたが、そもそも誰も初めから窓際を目指しているわけではないと思う。若い頃は誰しも、役に立ちたい、成果を出したい、認められたいという気持ちで頑張っているはずだ。

しかし、些細なきっかけで窓際へ追いやられてしまうこともある。あるいは、モチベーションを失って自ら窓際を選ぶ場合もある。
例えば「上司と相性が合わず、いくら頑張っても評価されない」「希望の業務を任せてもらえない」「努力しても報われず燃え尽きてしまった」といった理由である。窓際社員とは、単に怠け者ではなく、そうした経緯を背負った人でもあるのだと思う。

前の職場で出会った窓際係長

私が前の職場で出会った係長(「相性が最悪だった係長」とは別の人)も、まさに典型的な窓際の存在であった。その人は仕事をしないことで有名で、定時になるとスッと帰っていった。またどんなに忙しい時でも平然と年休を取り旅行に行っていた。その係長が不在の時は、係長の仕事が私に回ってくることもあった。

しかし、その係長を観察していると要領よく業務をこなしていることが分かった。庶務関係の仕事は効率的にこなし、資料作成も上手かった。自分に振られた業務は最小限の力で処理していた。
そして面倒な業務は上手に回避していた。その躱し方には感心するほどであった。

別の人の噂によると、その係長は簿記や経理の知識に長け、頭の回転も速い優秀な人物だったそうだ。かつてはバリバリ働いていたが、過去にパワハラまがいの出来事があり、休職を経験していたという。おそらく、その経験でモチベーションが失われ、結果として窓際に落ち着いたのだろうと感じた。

私自身も半分窓際なのかもしれない

実は私自身も、半分窓際なのではないかと感じている。ただし、そう思う時点でまだプライドを捨て切れず、完全に窓際にはなり切れていないのであろう。

そして私は毎回庶務ばかりを任されているが、「たまには別の業務をやってみたい」という気持ちが正直なところある。この時点で仕事を完全に割り切れていないのだと思う。

また、私は空気を読むのが苦手であるため、仕事をうまく躱す能力が低い。その結果、面倒な取りまとめや誰もやりたがらない仕事を押し付けられることが多い。

だからこそ「窓際社員になること自体、実は簡単ではない」と痛感する。プライドを捨て、仕事を割り切り、面倒事を回避するセンス――そうした能力が揃わなければ、本当の意味での窓際にはなれないのだろう。

まとめ

窓際社員は一見「楽に見える」に見える。しかし、実際にはそこに至るまでの苦い経験や、維持するための心構えやスキルがあるのだと思う。むしろ窓際になるのもセンスや能力が必要なのだろう。

こうして考えると、プライドを捨て、承認欲求を手放し、面倒事を回避する能力を身につけ、暇を暇として過ごせる精神力。これらを持ち合わせた人間だけが「窓際」という特異な立場にたどり着けるのかもしれない。
そしてその裏には、かつては真剣に仕事に打ち込んでいた過去や、人間関係の挫折といった背景が隠れているのだと感じた。

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