リストラの恐怖
サラリーマンにとって「リストラ」という言葉は、正直なところ恐怖以外の何ものでもない。リストラとはすなわちクビであり、これまで積み上げてきた会社員人生から突然外されることを意味する。
ひと昔前であれば、それはまるで「死刑宣告」のように感じられていた。なぜなら、当時は転職市場が今ほど整っておらず、一度会社を辞めてしまえば元のレールに戻るのは極めて難しいと考えられていたからである。住宅ローンを抱えている人や子育て真っ最中の世代にとっては、リストラされるということは、まさに路頭に迷うことと同義であっただろう。
最近は転職も一般的になってきたとはいえ、40代以上での再就職は依然として容易ではない。特に「就職氷河期世代」の私にとって、リストラという言葉は長らく恐怖の対象でしかなかった。資格を取得したり自己啓発に努めてきた背景には、会社での評価を高めたいという思いと同時に、心の奥底で「リストラされても何とかなる準備をしておきたい」という気持ちがあったのだと思う。
リストラされてもいいと思うとき
しかし最近になって、少し考え方が変わってきた。先日「資産5000万円を目指すシミュレーション」を整理したとき、ふと「これくらい資産があれば、リストラされてもいいかな」と思える瞬間があったのである。
資産形成をコツコツ続けてきたからこそ生まれる安心感だろう。若い頃から貯金や投資をしておいて本当に良かったと感じる。
見方を変えればリストラは必ずしも悪い話ばかりではない。例えば早期退職制度では退職金の上乗せがある。大手企業の事例では「2000万円上乗せ」というニュースもあった。もしすでに5000万円の資産があり、そこに2000万円が加われば合計7000万円になり、かなりの資産を持つことになる。税金の影響はあるにせよ、この額を株や投資信託などで運用すれば、場合によってはFIREも夢ではないと思う。
さらに、リストラは会社都合退職になるケースが多い。会社都合であれば自己都合と比べて失業保険がすぐ支給され、最大で300日程度の給付を受けられる。職業訓練を利用すれば、さらに延長される可能性もある。こう考えると、リストラは「悲劇」ではなく、自由になるためのチャンスとも捉えることができると思う。
資産が一定額に達しているならば、早期退職の募集があったときに「条件次第で手を挙げる」のも現実的な選択肢になり得るだろう。ある意味「リストラFIRE」という新しい生き方の形かもしれない。
私の場合 リストラ候補としての自覚
現実に目を向けると、黒字でもリストラを実施する企業が増えている。特に40代以上がターゲットになるケースが多い。理由は単純で、給与コストがかかる割にパフォーマンスが落ちやすいと見なされる年代だからである。
リストラ候補に挙がりやすい特徴は、「年齢が高い」「役職が低い」「コミュニケーションに難がある」といった条件だと言われている。
私はまさにその条件に合致していると感じている。40代後半、役職なし。そしてASDやADHD、吃音の傾向があり、すでに診断書を会社に提出している。つまり会社から見れば「コミュニケーションに難あり」と認識されている可能性が高い。
今の職場でリストラが行われた場合、真っ先にその候補に上がるのは私だと感じている。
正直、昔の私ならばこのような現実は恐怖でしかなかっただろう。
だが今は違う。ある程度の資産を築けたことで「もしリストラされたとしても、退職金がもらえるならFIREのチャンスになるかもしれない」と思える自分がいるのだ。
もちろん、私の勤める電力会社は労働組合の力が強く、簡単にはリストラは実施されないかもしれない。しかし、日産や富士通、大手家電メーカーのように黒字でも早期退職を募る事例は珍しくなくなっている。もしそうした募集があれば、条件次第で応募してもよいのではないかと考えてしまう。
まとめ
「リストラ=不幸」と思い込んでいた時からすると、資産をある程度作った今では心にも余裕が出てきたと感じる。資産形成をしていなかったら、今でもリストラという言葉は恐怖以外の何物でもなかったと思う。資産運用を続けてきたことで「恐怖」から「選択肢」へと見方が変わったのだと思う。
もちろん実際にリストラされれば不安もあるし、生活の変化も避けられないだろうが、それは必ずしも絶望ではなく、新しい人生のスタートになる可能性もある。
資産運用を続けることでリストラを「恐怖」ではなく「チャンス」として受け止められるようになったのだと思う。
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