やりたくないことをやらされるというのは、ものすごいストレスである。私自身、やりたくないことを無理やりやらされるとすごく嫌な気分になり時には怒りを感じる。
特に会社員生活では、やりたくないことをやらされる場面は非常に多い。
逆に、自分がやりたいことや好きなことは、いくらやってもそれほどストレスにはならない。
働き方改革から思うこと
「働き方改革」という言葉が広まったのは、電通の過労死事件が大きなきっかけだと思う。それまで当然とされてきた長時間労働が一気に悪とされるようになった。
しかし、世の中には長時間労働をしていても生き生きしている人がいる。起業家や自営業でうまくいっている人たちは、大変そうではあるが、生き生きしている人が多く感じる。好きなことや得意なことなら長時間やっても疲れを感じないのだろう。
一方、やりたくないことを毎日長時間やらされていたらどうだろうか。これはかなりのストレスになると思う。さらにやりたくないことのために、自分の時間が奪われ、睡眠も削られたら、精神的にも肉体的にも疲弊していくのは当然である。
働き方改革は「労働時間」ばかりが注目されがちだが、本質的には「やりたいことをやれているか」という要素も無視できないはずである。もし人事配置で個人の特性や得意分野を活かせるようになれば、社員も意欲的に業務に取り組むことで力が発揮され、会社の業績にもつながるはずだ。しかし現実には組織の事情が優先され、個人の希望や特性は二の次になっていると感じる。
個人の希望が軽視される要因
なぜ個人の希望や特性が軽視されるのか。その背景には、「仕事は大変であって当たり前」「給料は嫌なことの代償」といった昭和的な考え方があると思う。
私自身、担当者の視点で見て「この人はこの業務をやりたいと言っていたのに、まったく関係ない仕事を割り当てられている」と感じたことが何度もある。逆に「この人はこの仕事に向いていないのでは?」と思う人が、なぜかその業務ばかり任されることもある。
私が毎回苦手としている庶務業務についても、中には専門的な業務より庶務が良いという人もいる。
組織で働く以上、上層部の思惑や部署間の駆け引きがあり、本人の希望通りにいかないのは仕方のないことであるがであるが、もし本人の特性を考慮した配置がなされれば、精神疾患や過労死といった悲劇も減るのではないかと思う。「働かないおじさん」というものは、やりたくないことを無理して続けた結果、精神が疲弊してしまい、やむを得ず生まれてくるのだと思う。
また、やりたいこと、得意なことができ「仕事は楽しむもの」という雰囲気になれば生産性も上がり、会社の業績にも良い影響を与えるのではないだろうか。
本人の希望を考慮することは精神疾患や過労死の予防だけではなく、会社の業績にもつながると思う。
根っから働きたくない人は少ない
「仕事が嫌だ」「働きたくない」と言う人は多い。しかし、本当に根っから働きたくない人はごく少数だと思う。多くの人は、誰かの役に立ちたいという気持ちを少なからず持っているはずだ。自分のやったことが感謝されれば、やはり嬉しいものである。
働きたくないと思う理由は、やりたくないことを無理やりやらされることに尽きるのだと思う。
会社員の仕事は選べない。やりたい・やりたくないに関係なく、上司の指示には従わなければならない。そのうえ努力しても感謝されることは少なく、むしろ出来が悪ければ叱られる。この積み重ねが「働くことはつらい」というイメージを作っているのだと思う。
これらは、日本人は世界に比べ仕事へのモチベーションが低いと言われる要因でもあると思う。
一方で、退職後に趣味や地域活動として働き始める人もいるし、FIRE後に自分の得意を活かしてサイドFIREを選ぶ人も多い。結局のところ、人間は「やりたい仕事」であれば喜んで取り組めるのだと思う。
私の経験から感じること
私自身、やりたくないことをやらされると極端にストレスを感じる。これは、ASDやADHDの特性が影響しているのかもしれない。
興味のない業務は頭に入ってこない。説明を受けても右から左へ抜けてしまう。その結果、庶務業務ではミスを連発し、資料作りでも出来が悪いことがある。
逆に、得意分野や興味のあることに取り組んでいる人は、驚くほどの成果を出しているように見える。私の会社でも、ASDやADHD傾向のある人が専門的な部署で大活躍している例がある。
結局、会社員に必要な「センス」の一つは、やりたくない仕事でもある程度の成果を出せる力だと思う。さらに昇進を望むなら、やりたくないことでも意欲的に取り組む姿勢を見せたり、ばかばかしいと思う仕事でも真剣にこなす「演技力」が必要なのかもしれない。
また飲み会などの会社のイベントに行きたくなくても顔を出す我慢も必要なのかもしれない。
ただし、私にとって業務時間外で「やりたくないこと」を無理にやらされるのは、苦痛以外の何ものでもない。
まとめ
やりたくないことを無理にやらされることは、心身にとって大きなストレスとなる。働き方改革が進んでも、労働時間だけでなく「仕事の内容」や「適材適所」の考慮も大切だと思う。
根っから働きたくない人は少ない。人間は本来、役に立ちたい、感謝されたいという気持ちを持っている。だからこそ、やりたいことに取り組める環境があれば、社員も会社もより健全に成長できるのではないだろうか。
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