ASDの「こだわり」は武器にもなる

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発達グレーと向き合う
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ASD(自閉スペクトラム症)の特性として、「こだわりの強さ」があるとよく言われる。
特に、自分が興味を持ったことに対しては異常なほどの集中力や記憶力を発揮することがある。一方で、まったく関心が湧かないことには、どう頑張っても成果が出ず苦手に感じることが多い。
私自身、この傾向には自覚がある。若い頃から、興味を持てることにはとことんのめり込むが、興味のないことはまったく身が入らない。

世間ではASDというと「コミュニケーションが苦手」「空気が読めない」といったマイナスのイメージばかりが強調されがちである。しかし、「こだわりの強さ」という特性は、環境さえ合えば立派な武器になると私は思う。今日はそんなASDの強みについて書いてみたい。


興味が湧けばプロ並みの集中力

これまで私は、明らかにASDの特性を持っていると思われる人に何人も出会ってきた。そして彼らには共通して、何か一つの分野において突出した才能がある。

たとえば、会う人全員の身長を覚えている人がいた。本人に聞くと、「人の体格に興味がある」とのことだった。会うたびに「あなた、何センチ?」と聞き、全員の数値を記憶しているのだ。普通の人から見れば変わった趣味だが、医者や健康アドバイザーのような仕事に就けば、大きな強みになるだろうと思った。

また、壊れていない機械を分解して中を見るのが好きな人もいた。とにかく中の構造が気になるらしい。家電を分解して親に怒られるのが日常だという。だが、このような人はエンジニアとしては天職である。構造を理解しようとする探究心は、学歴や資格よりも価値のある資質だと思う。

さらには、語学が好きで数か月で外国語を日常会話レベルまでマスターしてしまう人もいた。四六時中その言語のことを考えており、寝ても覚めても勉強しているという。普通の人なら数年かかることを数か月で習得する。興味の力というのはそれほどまでに強い。

このように見ると、ASDの人は「困った人」「変わり者」と言われがちだが、実際には常人離れした集中力や好奇心を持っており、環境さえ整えばプロ並みのスキルを発揮する可能性を秘めていると思う。


私自身の「こだわり」

そんな私自身も、こだわりが強い方だと感じている。
特に興味を持った分野では、徹底的にやり込むタイプである。

たとえばランニング。気がつけばタイムや練習メニューにこだわり、結果として、フルマラソンで2時間40分台の記録を出すまでに至った。

ただし、急な残業で走れなくなると非常にイライラする。予定が崩れると気持ちが落ち着かず挙動不審になる。周囲から見れば「融通が利かない人」と思われるかもしれないが、これもASDの特性ゆえだと思う。

また、資格試験の勉強でも同じである。電験三種の勉強をしていた時期、どんなに疲れていても1日1時間は必ず机に向かうという「マイルール」を決めていた。体調が悪い日でも絶対にサボらないようにしていた。そして結果的に合格はできたが、無理をしすぎて発熱したこともある。家族からは「そこまでしなくても」と言われたが、自分としては「中途半端に終わらせたくない」という気持ちの方が勝っていた。その時は家族や周りに迷惑をかけていたと思う。


ASDの強みとは何か

ASDの強み、それは「興味を持ったことに対してあきらめない心」だと思う。
どんなに難しい課題でも、面白いと思えば自然と集中し続けられる。

何かの漫画の名言に「諦めたらそこで試合終了ですよ」というセリフがあるが、ASDの人は興味があれば簡単にあきらめないので終了にはならないのだ。

もちろん、この「あきらめの悪さ」は時に集団生活で問題を起こすこともある。職場でも「融通が利かない」「指示に従わない」と誤解されやすい。しかし、環境が合えばこの粘り強さは間違いなく武器になる。

ASDの人は、環境の影響を受けやすいと感じる。会社員であれば配属先や上司によって評価や出世が大きく変わる。
いわゆる「配属ガチャ」という言葉があるが、ASDの人にとってはこのガチャの当たり外れが今後の会社員人生に直結する。

もし企業側がASDの特性を理解し、適材適所を意識して配置できるなら、本人にとっても会社にとっても大きなプラスになるはずだ。単に「扱いづらい社員」として片づけてしまうのは非常にもったいないことだと思う。


まとめ

ASDの「こだわりの強さ」は、裏を返せば「一つのことを極める才能」「継続力」である。
社会では「バランスが大事」とよく言われるが、実際に著しい成果を出している人の多くは、何か一つの分野で突出している人たちだ。

こだわりが強いという特性は、時に問題を起こすこともあるが、環境が合えばそれは誰にも真似できない強みになる。
ASDの人に必要なのは、「こだわりを受け入れてくれる環境」であり、周囲の理解であると思う。

私自身、今後もこの特性をうまく活かしながら、自分らしい形で人生を続けていきたいと思う。

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