発達障害の人が見ている世界

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発達グレーと向き合う
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発達障害の人は「変わっている」と言われやすい

ASDやADHDといった発達障害の人は、どうしても「変わった人」「空気が読めない人」と見られがちである。
本人に悪意がなくても、周囲から誤解されたり、意図しないトラブルに発展したりすることも多い。

なぜそのようなことが起こるのか。
私はそれは単に「性格の問題」ではなく、「脳の特性の違い」からくるものだと思っている。
つまり、発達障害の人は見えている世界そのものが、一般的な人とは根本的に異なるのだと思う。


私自身の経験から感じる違い

私もこれまで、職場やプライベートで「空気が読めない」「常識がない」「自己中心的」など、嫌というほど言われてきた。
もちろん、わざとそう振る舞っていたわけではない。むしろ、相手に気を使って発言したつもりでも、マイナスに受け取られるのか、逆に怒られたり、冷たい反応をされることもよくあった。

一時期は本当に落ち込んで、「どうしてこんな風に誤解されてしまうのだろう」と悩んだ。
そのとき、発達障害に関する本やネット記事を読み漁った結果、「自分が見ている世界が他人と違うのかもしれない」と気づいた。

特に職場では、私と上司・同僚の「見えている世界」がまったく違うと感じることが多い。
言い換えれば、価値観や優先順位がまるで異なるのだろう。
その違いは、日本人と外国人ほどの差があると感じることさえある。


「普通」だと思っていることが「非常識」と言われる

たとえば、職場の飲み会でこんな出来事があった。

会社から飲み会の会場まで2キロ。
幹事として私は「歩いた方が早いし、タクシー代もかからない」と考え、歩く選択をした。
しかし周囲からは、「偉い人を歩かせるなんて非常識だ」「2キロも歩くのは長すぎる」「幹事なら間に合うようにタクシーを手配すべきだ」と叱責されてしまった。

私からすれば、渋滞のリスクを避けられ、タクシー代も抑えることができるので合理的だと思っていた。
だが、世間一般の「常識」では、2キロも歩かせること自体が大変であり、偉い人に対しては失礼にあたるらしい。
こうした「常識のズレ」が、私のようなことが頻繁に起こった。

AとBという2つの選択肢があるとき、私はAが正しいと思うが、周囲からはBが「普通」だと指摘されることがよくある。
このようなことが続くと、「自分はAだと思うが、普通はBに合わせるべきなのか」と、些細なことでも真剣に悩んでしまう。


普通のことができないが、普通じゃないことができる

発達障害の人の特徴として、「普通の人が簡単にできることができない」一方で、「普通の人ができないことをやすやすとできる」という傾向がある。
これもやはり、見えている世界が違うからだと思う。

たとえば私は、マルチタスクが極端に苦手である。
二つ以上の作業を同時に行うと、必ずどこかでミスをする。
作業中に話しかけられると、今何をしていたか一瞬で忘れてしまう。
また、スキップがうまくできなかったり、ボールをきれいなフォームで投げられないなど、運動面でも苦手なことが多い。

しかしその反面、方向感覚には非常に優れている。
地図を一度見れば、初めての場所でも迷うことはほとんどない。
また、計算のスピードも速く、ランニング中のペース計算や、株・不動産投資の利回り計算でもこの特性が役立っている。

つまり、発達障害の人は能力の凸凹が大きい。
ある部分は飛び抜けて優れているが、別の部分は驚くほど苦手なのだ。

これは「個性」と言えば聞こえはいいが、会社組織のような「平均」を求められる環境では、扱いにくい存在と見なされやすい。


外国人労働者が増えれば、同じような問題が起こるかもしれない

おそらく今後、日本で外国人労働者が増えれば、発達障害の人が経験しているような「すれ違い」や「誤解」はさらに増えるだろう。
なぜなら、彼らもまた「見えている世界」が異なるからだ。

生まれた国、育った文化、価値観が違えば、当然感じ方や判断の基準も違う。
その意味で、発達障害の人と外国人労働者の間には、ある種の共通点があると思う。

最近になって発達障害という言葉が社会的に注目されているのは、もしかすると「多様な価値観を受け入れる準備期間」なのかもしれない。
「普通」とされる枠の中に収まらない人が増えていく時代だからこそ、見え方の違いを理解し、共存の方法を探る必要があるのだと思う。


発達障害の人でも、決して「劣っている」わけではないと信じたい。
それは、脳の仕組みが違い、世界の見え方が異なるだけなのだと思う。

私も今後、「変わっている」「空気が読めない」と言われ続けると思う。

そして、時にはこれらが原因でトラブルを起こしたり、使えない奴と思われるかもしれない。

しかし、気にしても落ち込むだけなので、そんなときは「見えている世界が違うのだ」と開き直るようにしたいと思う。

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