資格を取っても評価されない? 〜ASD・ADHD傾向の私が感じたメリットと現実〜

職場での出来事・エピソード
会社が推奨する「資格取得」

私の勤務する会社では、社員に対して資格取得を推奨している。業務に関係する資格を取得すると、一時金が支給される制度も整っており、一定のインセンティブがある。

私も例にもれず、入社後いくつかの資格を取得してきた。主に以下のようなものである。

  • 公害防止管理者(大気第一種、水質第一種)
  • 高圧ガス製造保安責任者(乙種化学)
  • 第2種電気工事士
  • 第三種電気主任技術者
  • TOEICスコア700点

私は大学院で化学を専攻していたこともあり、取得資格も化学に関するものが多い。また、学生時代には甲種危険物取扱者も取得しているが、これは入社前の取得だったため、一時金の対象にはならなかった。

なお、職場には私よりもはるかに難易度の高い資格を持つ社員も多く在籍している。例えば、第一種電気主任技術者、技術士、TOEIC満点といった猛者もおり、資格取得においても優秀な人材が揃っている職場である。そんな中で、私も自分なりに頑張り「人並み」くらいの資格は取得したつもりである。

資格取得とASD・ADHDの相性

資格取得は、ASDやADHD傾向のある人間にとって、比較的相性が良い活動であると感じている。なぜなら、資格試験の勉強は基本的に孤独で地道な作業の繰り返しであり、一定の継続力と集中力を要するものだからである。ASDやADHDの特性を持つ者は、外的な刺激に振り回されやすい一方で、地道な作業の繰り返しや興味のあることには強い集中力を発揮できる場合が多い。

また、資格取得には上司や同僚との根回しや空気を読む力は求められない。純粋に「自分の努力と実力」だけが問われる世界であり、そこには職場のようなあいまいな評価軸や好き嫌いといった感情の入り込む余地が少ない。
明確な合格基準があり、成果が数字で見えるという点も公平であると思う。わかりやすさを好むASD・ADHD気質には適しているのだろう。

実際、ASDやADHDの特性を持つ者は学校の勉強は得意だったが、社会に出てからのコミュニケーションには苦戦しているという人が少なくないと思う。

難関資格がチャンスを呼ぶこともある

もちろん、資格を取ったからといって必ずしも評価されるわけではない。しかし、取得した資格が職場で求められるものだった場合、チャンスが回ってくることもある。

特に、相性の良い直属上司に当たり、その上司が資格の価値を理解してくれた場合には、「できる人」として一目置かれる可能性もある。これは、これまでの実績とは無関係に、資格を取得したという努力が認められる数少ない機会でもあると思う。

「資格があっても仕事はできない」という現実

一方で、「資格があっても仕事はできない」「資格と実務は別物」などという声も多く耳にする。

私自身、最近取得した第三種電気主任技術者について、ある先輩社員に「お前には資格を取得して何かをやりたいというビジョンがない。これでは資格を取得する意味がない」と厳しく指摘されたことがある。確かに、私がその資格を取得した背景には、職場で新たな挑戦をしたいという前向きな動機よりも、リストラや転職への備えといった「守りの理由」が強かったのは事実である。

取得したのはすでに昇進も止まっていた時期であり、会社での将来に対してあまり希望を持てない中で「せめて資格だけでも」という思いであった。
たまたま一時的に再生可能エネルギー関連の設備管理を担当していたこともあり、「どうせなら取っておこうか」という思いからであった。

資格を取っても配属は「庶務チーム」

実際、電験三種を取得したからといって、それにふさわしい業務を任されたわけではない。むしろその後の異動では、これまで同様、庶務メインのチームに配属された。

若いころに取得した公害防止管理者や高圧ガス製造保安責任者についても、資格を活かすようなポジションを任されたことは一度もない。以前の記事「『筆頭課=庶務地獄』ダメリーマンが歩んだ裏方人生」にも書いた通り、取得した資格とは無縁の地味な仕事を延々と続けてきた。

それでも、資格は「資産」である

こうして振り返ると、「資格を取ったからといって報われるわけではない」というのが現実である。しかし、だからといって資格を取ること自体を否定するつもりはない。

仮に実務で活かされなかったとしても、何も持っていないよりは、何かを持っている方が自分の支えにはなる。職場評価が得られず、居場所が見つけにくい中でも、「資格」という客観的な成果は、自己肯定感を保つ材料やリストラ、転職の際にも役立つのではないだろうか。

少なくとも「仕事もできず、資格も持っていない」となるよりは、「資格は持っている」と言えるだけでも良しとしたいと思う。

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