ASD・ADHDグレー診断を受けたきっかけと気づき

仕事と生きづらさ
① ミスの連続と自己肯定感の低下

検査を受けた時期は、ケアレスミスを連発していた。特に多かったのは誤字脱字、文書の体裁ミス、説明の不備など。
上司や同僚から「なんでこんな簡単なこともできないのか」と責められる場面が増えていた。
おそらくあきれられていたと思う。

文章もまともに書けないと言われ、「小学生レベル」とまで言われたこともある。自分でも「なぜ普通の人ができることができないのか」と思いつつ、原因がわからず、ひたすら落ち込む日々が続いた。

ちょうどこのころから、「発達障害」という言葉がメディアなどでも頻繁に見られるようになっていた。

私自身も「もしかしたら自分もそうではないか」と薄々感じるようになっていたが、精神科や心療内科に行くというハードルは高く、しばらくは動けずにいた。

② 検査を決意させた2つの出来事

そんな私に検査の受診を決断させたのは、忘れられない2つのエピソードだった。

■ 暴風雨の中の運転時

ある日、台風並みの暴風雨の中で設備巡視を担当することになった。私はふだん車の運転の機会が少なく、慣れていないこともあり、慎重に安全運転を心がけていた。

しかし、同乗していた係長の指示通りに運転ができず、「自動車学校からやり直したほうがいいんじゃないか」「病気なんじゃないのか?」と厳しい言葉を浴びせられた。

実際、暴風で車は煽られ、前後には車も走っていたため、速度の調整や判断が難しい状況だった。それでも「30キロ以上出すな」と言われた直後にうっかり速度超過してしまい、さらに叱責された。

走行中にあれこれ指示されると混乱してしまい、うまく対応できなかった。
そんな自分に対して、「もしかしたら本当に病気なのかもしれない」と思わざるを得なかった。
この時は結構凹んだ。

■空気が読めない発言

もうひとつは、他部署主催の説明会の場での出来事である。

社外の人に向け講習会を開催するので、その中で私の部署が管理する設備の説明を15分ほどするよう依頼された。講習会の開始時刻は19時。複数の開催日が用意されていたが、私の部署が担当する日はすでに上長同士の間で決まっていたらしい。

ただ、私にとってその日の勤務時間以降は予定があり、対応は難しいと係長に伝えた。しかし、「とりあえず説明だけ聞いてきて」と言われ、予定通り説明会に参加することになった。

説明会の最後に、「何か質問はありますか? どんなことでも構いません」と全体に向けて促されたため、私は率直に「指定された日は対応できないので、別日に変更可能でしょうか」と質問した。担当者は柔軟な対応をしてくれそうな雰囲気だった。

ところが後日、その質問が「空気が読めない発言」として問題視された。
係長から呼び出され、「なぜそんな質問した」「日程は上長間で調整されていた。事前に部内調整して欲しかった」と伝えられた。

さらに、G長(課長格)も「部内調整もせずに勝手にあのような質問をするとは呆れてものも言えない」と漏らしていたと聞かされ、大きなショックを受けた。

私としてはどんな質問でも良いとのことだったので質問したのだが、 「配慮の不足」として思われたのであろう。この一件で、私の感覚が一般的な感覚とズレているのではないかという思いが、より強くなった。

この2つの出来事が決定打となり、私は検査を受けることを決意した。

③ はじめての心療内科と不安

予約をしてから初診を受けるまでに約2ヶ月かかった。意外にも心療内科は混んでいて、予約がすぐに取れなかった。

正直に言えば、検査を受けることは「自分が何かの障害を持っていると確定されるかもしれない」という怖さもあった。

でも、逆に「原因がわからないまま悩む方がもっと苦しい」と思い、勇気を出して受診することにした。

④ グレーゾーンの診断と小さな安堵

診断の結果、私は「アスペルガーの傾向が強い(ただしグレー)」との診断を受けた。

はっきりと「発達障害です」とは言われなかったが、「典型的な特性にいくつも当てはまる」と言われた。
やっぱり発達障害の傾向はあるのかというショックもあったが、不思議と少し安心した。
原因がわからなかった悩みが、ようやく腑に落ちた感じがした。

その後、職場の保健師に診断結果を伝えた。思いのほか親身に受け止めてもらえ、ほっとした記憶がある。

さらに精密な特性を確認するため、WAISという知能検査を受けることになった。問診や予約の調整などを含めると、最終的な結果が出るまでに半年近くかかったと思う。

(※WAIS検査の詳細や結果については、別記事で紹介予定)

⑤ 今振り返って思うこと

検査を受けることにかなりの抵抗はあったがを受けてよかったと、今では素直に思う。
怖かったけれど、「知ること」は前に進むための第一歩だった。

グレーであっても、特性を理解すれば対処できることはあるし、なによりもこれまで職場でうまくいかなかった原因が分かったことで自分自身納得することができた。

この体験が、誰かが一歩踏み出す勇気につながれば幸いだ。

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