人事考課の面談が行われなかった出来事
今回紹介するのは、まったく評価されなかった前任部署での出来事である。
私の会社では年に2回(夏と冬)、人事考課面接が行われる仕組みになっている。面接はおよそ30分程度、グループ長と1対1で実施される。
この面談では、過去半年間の業務に対するフィードバックや、今後の担当業務、日々の悩み、やりたいこと、その他相談事などを話し合う。表向きは「相談の場」のようでもあるが、実際には実績をアピールできる場であり、人事評価にも少なからず影響する重要な機会である。
冬の面談が「なかった」
ある冬のことだった。人事考課面談のシーズンになると、社内メールで関係する連絡が届き始め、周囲の社員が順に面談のために個室へと呼ばれていった。係長や別チームの担当者が面談を受けていく姿を見て、当然自分にもそのうち声がかかるだろうと思っていた。
しかし、いつまで経っても私には声がかからない。数日待ったが、結局その年の冬、私には一切の面談が行われなかったのである。
「なぜ私だけ?」という疑問が頭から離れず、モヤモヤした感情が残った。人事考課に関わる以上、全員平等に実施すべきであり、対象者をどう選んでいるのかまったく分からなかった。
翌年も、また面談はなかった
そして翌年の冬。同様に面談の時期になると、再び周囲の社員が個室に呼ばれていった。しかし、またしても私には声がかからなかった。
さすがに納得がいかなかったので、会社の規定を確認したところ、「年2回(夏・冬)面談を行う」旨が明記されていた。
そこで、怒られることを覚悟の上、私は思い切ってグループ長およびその上長(部長・次長)宛に、「なぜ冬の面談が行われないのか」理由を確認するためメールを送った。念のため、会社の規定も「面談が必要」と記された根拠として添付した。
出勤早々、部長室に呼ばれる
メールを送った翌朝、出勤してすぐに部長から呼び出された。内心、「これは怒られる」と覚悟した。
「空気を読めないやつだと思われるかも…」「人事考課のことを聞くなんて非常識だと思われるかも…」そう思いながら部長室に入ったが、意外にも部長は「金太郎さん、ごめんね。こういう意見を言ってくれてよかったよ。確かに公平ではないよね」と謝罪してくれた。
私は怒られなかったのでホッとした。一方で、「このグループ長の下では、どんなに頑張っても正当な評価は受けられない」と感じた瞬間でもあった。
面談は行われたが、時すでに遅し
部長の指示があったのか、グループ長は慌てて私を呼び出し、面談を行った。しかし、その時点で冬の人事考課の提出期限はすでに過ぎていた。
私が半年間の成果をどれだけ主張しても、提出済みである以上、評価には反映されなかったのだと思う。
その後の対応と冷たい空気
それ以降、グループ長は明らかに私に冷たくなった。おそらく、「年2回も面談なんてやってられない」と思っていたのだろう。私のこの確認は、グループ長にとって快く思われなかったのだろう。確かに全員分30分ずつというのは負担ではある。
その後の夏の面談でも、私の悩みや困っていることを伝えても、「それはお前に非がある」「そういうところがダメなんだ」といった反論や批判ばかりが返ってきた。相談どころかまるで「ダメ出し面談」であり、何を話したか記憶もおぼろげである。
まさにダメ出しの「三倍返し」だった。
相談が裏目に出た恐怖
さらにショックだったのは、面談で話した「相性が最悪だった係長」との関係についての相談が、その係長本人に伝わっていたことである。
「お前、あの話をグループ長にしたのか?」と睨まれたとき、心底恐怖を感じた。以後、相談すらもできない空気が出来上がってしまった。
正当に評価されることなどあるのか?
この出来事を通して、「職場の評価の大半は、上司の好き嫌いで決まる」と痛感した。
冬の面談は、私と相性が悪かった係長に対しては行われていた。おそらく、その係長の評価だけが私の人事考課にダイレクトに反映されていたのだろう。
まるで弁護人のいない裁判を受けるようなもので、自分の言い分が一切反映されない、不公平な評価だったと今でも感じている。これでは公平な評価は得られないと思った。
制度上は年2回の面談が規定されていても、「ダメ社員」と見なされると、その制度すら適用されなくなる。これは差別であり、パワハラではないかとも感じた。
無理ゲー化した会社員生活
今回の件を通じて、「ダメ社員」というレッテルを貼られた瞬間、会社員生活は「無理ゲー」になることを実感した。上司の気持ち次第で、会社の規定に定める面談も受けられず、相談もまともに聞いてもらえないのだ。まさにゼロではなくマイナス評価から始まるハードモードだ。
前任部署での出来事は、その「無理ゲー」をまさに体感した経験だったと思う。
今思うと、棍棒と布の服でラスボスに挑むようなものだったと思う。
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