「働かないおじさん」に陥るリスク
会社員は安定しているように見えるが実際には、自分の意思ではどうにもならない制限が多い。
上司や同僚との相性、部署異動、担当業務の割り当てなど、ほとんど自分自身で決めることができない要素ばかりである。
私の経験上「成果が出せるかどうか」「評価されるかどうか」というのも、努力だけでなく運に左右される部分が大きいと思う。負け惜しみと言われるかもしれないが、私のような会社員は実感しているのではないだろうか。
そしてあまりにも低い評価をされた場合「働かないおじさん」というレッテルが貼られる。優秀だと言われてきた人も、不運に不得意な業務を割り当てられたり、相性の悪い上司の下に配属されたりすれば、一気に評価が下がり「働かないおじさん」になってしまう恐れがあると思う。
特に、私のように発達障害のグレーゾーン傾向を持っている人間は、「働かないおじさん」に陥るリスクが高いと感じている。だからこそ、「私は大丈夫」と思わず、誰もがその可能性を前提に対策を考えることが無難であると思う。
社外スキルと人脈の重要性
これからの時代、人生を会社に丸ごと捧げるような働き方は時代遅れであると世間一般では言われている。昭和・平成の会社員は、企業戦士なんて言われ、食事と睡眠以外のほぼすべての時間を会社に費やしていた人が多かった。しかし今後は、そのやり方では自分の将来を守れない。
昨日の「残業キャンセル界隈」の記事にも通じるが、意識的に社外活動の時間を作り、社外で通用するスキルや人脈を得るのだ。
社外で通用するスキルや人脈を持っていれば、会社でうまくいかない時にも心の支えになる。逆に、会社にすべてを賭けて失敗すれば、職場はもちろん、下手をすれば稼げない人として家庭でも居場所がなくなる恐れがある。
いきなり社外活動と言っても最初は難しいと思う。
自由度が高い社外活動だからこそ「何もしない」という選択肢も生まれてしまう。だらだらしているだけでは時間が無駄になるし、意思の強さがなければ継続も難しい。加えて、定時後に活動をするには気力や体力も必要だ。しかし、ここは将来の自分の事として真剣に向かい合い、何をするか考え抜く必要があると思う。
私自身は30歳前後の頃、毎日定時で帰って不動産投資の勉強をしていた。セミナーに参加したり、現地に物件を見に行ったりと、かなり専念したと思う。その結果、小規模ではあるが2軒の物件を持つことができた。
また趣味のランニングを通じて国内外に仲間ができ、仕事以外の世界でも多くの助けを受けた経験もある。まさに会社員生活からは得ることができない経験や人脈を社外活動から得たと思う。
たとえ会社で「働かないおじさん」と言われても、社外活動で得たスキルや人脈は自分を支えてくれるのである。
会社には過度な期待をしない
会社に過度な期待を抱くと、裏切られたときに大きな失望を味わう。
かつては「頑張れば必ず昇給・昇進がある」と信じられていた。しかし今は違う。会社に余裕はなく、全員の給料を上げ続けることは難しい。頑張ったからといって、必ず報われるとは限らない。
むしろ「会社の評価は公平ではない」と最初から割り切っていた方が、精神的に楽である。そうすれば、評価されなくてもショックは小さい。
また、会社に期待しなければ「付き合い残業」や「行きたくない飲み会」に参加しないというハードルも低くなる。今までは「残業しないと悪いかな」「飲み会を断ると印象が悪いかな」と罪悪感を感じていた人も多いと思う。しかし会社に期待しなければ、そんな罪悪感は自然と消えていく。
冷静に考えれば、付き合い残業や飲み会は、なくても何とかなることなのだ。
サラリーマンは投資商品である
自分の時間と労力をすべて会社に注ぎ込むことは、「自分という資産をサラリーマンという投資商品に一点集中する」ようなものである。もし役員にまで上り詰めれば収入面でも人脈面でも大きなリターンが得られるが、役員まで上り詰められるのはごく一部の人である。そして運の要素も大きい。
課長クラスまで昇進できれば「投資商品サラリーマン」としては元が取れるかもしれない。しかし最近では課長どころか管理職に届かない人も珍しくない。平社員のまま定年を迎える人も多いだろう。
そして評価されず「働かないおじさん」というレッテルを貼られれば、居場所もなくなり、リストラ候補にもなり、給料も上がらない。投資商品サラリーマンはまさに大損である。
このように考えると、サラリーマンに一点集中投資するというのは分が悪いと思う。
投資の世界ではリスク分散が基本である。同じように、自分自身という資産も勤め先会社に賭けるのではなく、社外活動へも分散すべきだ。たとえ会社での昇進の道が閉ざされても、社外から収入や人脈を得られれば、それがリスクヘッジになる。
まとめ
「働かないおじさん」になるのは、能力の低い人だけではない。誰でも陥る可能性がある。だからこそ、自分の将来を守るために「社外スキル」「人脈作り」「会社に期待しない姿勢」「リスク分散」を意識する必要があるのだ。
私自身は会社員として劣等生であり、「働かないおじさん」「できない社員」の部類である。しかし、不動産投資やランニングといった社外活動を通じて、自分なりの支えや居場所を見つけることができた。
働かないおじさんに陥る可能性は誰でも有り得るので、会社の外にも軸足を持ち、自分自身の価値を高め続けることが何よりの対策であると思う。
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