AQ・WAIS検査の診断書を職場に提出してみた結果

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発達グレーと向き合う
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私は2年ほど前、発達傾向を確認する目的で「AQテスト(自閉症スペクトラム指数)」と「WAIS(知能検査)」を受けた。前回の記事「発達グレー診断の記録|AQテスト・WAIS検査を受けてわかったこと」でも触れたが、今回は検査後の対応や、職場への提出、その反応などについて記録として残しておきたい。

AQテストの結果を職場へ提出した理由

最初に受けたのはAQテストであった。このテストを受けた後、悩んだが私はその結果を職場の保健師に提出することとした。理由は単純である。検査を受けただけでは、何も変わらないと感じたからだ。

ASDやADHDには、明確な治療法が存在しない。検査を受けたところで、自分にその傾向があることが分かるだけで、職場に伝えなければ職場の環境が何も変わらないからだ。であれば、私にASDやADHDの傾向があることを職場に伝えた方が良いのではないかと考えた。空気が読めず叱責されることや、ケアレスミスによって周囲に迷惑をかけていたことも、その理由の一つである。

受診した心療内科の医師も「職場には伝えた方が良い」と背中を押してくれた。診断書を提出することで、職場に合理的配慮を求めることができるという助言であった。

診断書をめぐる葛藤

診断書については、こちらの要望をある程度反映してもらえそうな雰囲気であった。たとえば「部署異動を希望する」といった内容も、希望すれば書いてもらえたかもしれない。

ただ、あまりに過剰な表現が含まれてしまうと、逆に「大げさ」「弱い人」と職場で見なされるのではないかという不安があった。これまで精神科や心療内科に縁がなかった私にとって、診断書を通じて要望を伝えること自体が大きなハードルであり、申し訳なさすら感じていた。

保健師との面談とWAIS検査の必要性

AQテストの結果を職場の保健師に提出した際、意外にも丁寧に話を聞いてくれた。どうやら、私と同じような傾向の人は他にも一定数いるらしく、うまく配慮を受けながら業務を遂行している人もいるという話をされた。それが慰めなのか本音なのかはわからなかったが、わずかに気持ちが軽くなった。

一方で、AQテストだけでは「傾向がある」ということしか分からない。実際にどこに困難があるのかを具体的に知るため、次にWAIS検査(知能検査)を受けることにした。

WAIS検査の結果と職場への提出

前回の記事にも書いたとおり、WAIS検査では私の「処理速度」がかなり低いことが判明した。この結果をもとに、医師は職場向けの診断書を作成してくれた。内容は要望次第で柔軟に記載可能という印象であり、「配慮は求めてよい」と医師も明確に述べていた。

ただし、先述のとおり、職場で「甘え」と見なされる懸念が私の中には常にあった。その不安が、自ら診断書に要望を書くことへのためらいにつながっていた。

産業医との面談と上司の反応

診断書を提出したのち、保健師、産業医、そして直属の上司との三者面談が行われた。上司は「忙しいのに……」という感じであり、少々面倒くさそうな様子であった。

面談では産業医から困っていることを尋ねられた。私は以下の3点を率直に伝えた。

  • 空気が読めず、周囲に迷惑をかけてしまうこと
  • 誤字脱字など、ケアレスミスが多いこと
  • 吃音により言葉が出てこないこと

産業医はこれらの内容に慣れている様子で、淡々と面談を終えた印象であった。

職場で診断結果はどう扱われたのか?

その後、診断結果が職場でどのように活用されたかは、正直なところ不明である。ただ一つ分かったのは、異動の際に診断結果が上司間で共有されていたという事実である。これは「このような傾向がある」ということを、配属先の上司に事前に伝えるためとの説明であった。

だが、それが「配慮のため」なのか、「要注意人物として」のラベリングなのか、真意は分からない。ASDやADHDについて十分に理解していない上司のもとでは、むしろ「精神的に不安定な人」と捉えられてしまう恐れさえあると感じている。

また、人事評価にも何らかの影響を与えている可能性も否定できない。

その後のフォローはなく、宙に浮いたまま

診断書提出後、保健師から「定期的に状況確認の連絡をする」と言われていたが、実際にはこの2年間、一度も連絡が来ていない。結局のところ、診断書がどれだけ職場に役立ったのかは不透明である。

職場に診断書を提出したことについて

検査を受け、診断書を提出し、面談も受けた。しかし、その先に劇的な変化があったわけではない。それでも、「自分の特性を把握するため」「少しでも働きやすくするため」に行動したことは良かったと思う。また、同じような人が職場にも一定数いると分かったことも収穫であった。

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